当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0080
「活用のある語の送り仮名は、活用語尾から送る」というのが原則だそうですが、「うけつけ」を「受付」と書くのは、間違いなのですか?

A

送り仮名については、Q0046で、内閣告示「送り仮名の付け方」(1973年告示、1981年一部改正)を引用して、「活用のある語…(中略)…は、活用語尾を送る。」とご説明しました。これをご覧いただいた方からすれば、当然の疑問だと思います。Q0046では、スペースの関係もあって、内閣告示の細かい部分までは説明しきれなかったのです。
といいますのも、この内閣告示「送り仮名の付け方」、けっこう複雑な内容なのです。そこで今回も、必要な部分だけを引きますと、「通則7」に、次のように書かれています。

「複合の語のうち、次のような名詞は、慣用に従って、送り仮名を付けない。」

この一文の下に90弱の「複合の語」が例として列挙されているのですが、「受付」は、その中にあります。なんてことない、例外なんですね。全く、困ったものです。
もともと、日本語の歴史の中で、「送り仮名をどう送るかの規則を定めよう」というような問題意識が生じたのは、そんなに古いことではありません。昔は、読めればよい、という程度で送られていたのです。
ですから、小社の誇る『大漢和辞典』は、漢和辞典の最高峰、などと申しながらも、その中には送り仮名という概念はありません。ためしに「索引」巻の「字訓索引」を見てみましょう。現在の常識からすれば、「それって訓読みですか?」というような、送り仮名の付けようもない「字訓」がたくさんでてきます。曰わく、「あいらしくわらう」(瑳)、「あおいおびひも」(綸)、「あおいろのきぬ」(總)などなど……。これは、『大漢和辞典』の基本的な部分の編集作業が、大正の末年から戦前にかけて行われてきたことを考えれば、当然といえば当然のことなのです。
それはともかくとして、送り仮名については、なかなか難しい問題が多いのです。ご興味がある方は、内閣告示「送り仮名の付け方」をご覧になってみてください。小社の学習用漢和辞典『新漢語林』や、『明鏡国語辞典』にも、収録しています。

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