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漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0446
「窓」の部首が「宀(うかんむり)」でなく「穴(あなかんむり)」なのは、どうしてですか?

A

いま仮に、「窓」の部首は「宀(うかんむり)」だとしてみましょう。すると残るのは、「ハ+ム+心」の部分です。この形だけを取り出してみて、「総」「聡」などを思い出す方もいるでしょう。
この2文字とも音読みはソウ、一方の「窓」だって音読みはソウです。とすると、この形はソウという音を表す部分で、「窓」はそれに「宀(うかんむり)」の付いた形声文字だと考えることができます。めでたし、めでたし。「窓」の部首を「宀(うかんむり)」だと考えても、何の問題もなさそうです。
なのに、漢和辞典の多くがこの漢字の部首を「穴(あなかんむり)」だとしているのは、いったいどうしてなのでしょうか?
044601「窓」は、本来は図のような形をしていました。この「穴」以外の部分は、「總」や「聰」にも共通して見ることができます。そして、「總」が「総」へ、「聰」が「聡」へと簡略化されたのと同様に、図の漢字も「窓」へと簡略化されたのです。
なるほど、それはわかりましたよ、お兄さん。でも、そうだとすると、「穴」の「ハ」の下にもう1つ、「ハ」がないといけないんではないですか?
そう思った人は、なかなかスルドイですねえ!つまり、現在、私たちが使っている「窓」は、省略の上にさらに省略が加えられた漢字なのです。しかもその省略は、新字体だの旧字体だのという騒ぎよりもずっと前に起こった省略なのです。
考えてみれば、「窓」とは、壁に開けた穴のこと。部首とは、その漢字の意味に関係するものですから、「窓」の部首が「穴」なのは、納得がいくところです。ただ、人類に普遍の偉大なる怠けぐせが、部首をわかりにくくしているだけなのです。

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