以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0024
漢和辞典で「輝」を部首から探そうとしたのですが、「光」部がありません。なぜですか?
A
部首による漢字の分類を初めて行ったのは、紀元1世紀に作られた『説文解字(せつもんかいじ)』という字典ですが、この字典で「輝」という字を探しても、みつけることはできません。代わりに図の中央のように、「火」偏に「軍」を書いた字をみつけることはできます。どうやら、当時は「輝」ではなくてこの字が一般的に使われていたようです。そのせいか、『説文解字』では「光」という部首が立てられることはありませんでした。
その後の字典においては、「光」が部首として立てられることがなかったわけではありません。しかし、『説文解字』で540もあった部首が、18世紀、『康熙字典(こうきじてん)』の214という数に整理されていく過程で、多くの部首が涙をのんで消えていきました。「光」も、とうとう部首として陽が当たることはなかったのです。
現在の漢和辞典の部首立ては、『康熙字典』を基礎としています。伝統を尊重するというのが、漢和辞典の世界のよいところでもあり、悪いところでもあります。現在の漢和辞典でも、「光」を部首とすることはほとんどありません。一部、小学生・中学生向けのものなどにはこの部首を立てることもありますが、立てたとしても収録される漢字は「光」「輝」「耀」くらいのもので、あまり実用的でないと考えられてきたのかもしれません。
ちなみに、普通の漢和辞典では「光」は「儿」部、「輝」は「車」部、「耀」は「羽」部に収録されています。