以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0246
「秋」という字は、「禾」と「火」の左右を入れ換えて書いても、上下に並べて書いてもいいと聞いたのですが、本当ですか?
A
本当です。小社『大漢和辞典』には、図のような漢字がきちんと収録されていて、どちらも「秋」の異体字であると示されています。ただし、左右に並べて書いた字は「禾」の部首に収録されているのに、上下に書いたものが「火」の部首に収録されているのは、ご愛敬です。
会意文字であれ形声文字であれ、2つのパーツを組み合わせて作られた漢字は、それぞれのパーツの意味や発音が、出来上がった漢字の意味や発音の元になっています。一方、異体字とは、意味や発音が同じなのに、形だけが違う漢字のことです。そこで、パーツが同じなのに組み合わせ方が違う異体字というものは、数多く存在するのです。それは、何も「禾」と「火」の組み合わせに限ったことではありません。
ただし、同じパーツが組み合わさっているにもかかわらず、意味や発音が全然違うものになってしまう漢字もあります。そのあたりに関しては、以前、Q0082で取り上げたことがありますので、そちらをご参照ください。