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漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0075
漢字の音読みには、呉音・漢音・唐音などがあるとそうですが、これらの見分け方はあるのですか?

A

いやあ、これはなんとも難しいご質問です!
呉音・漢音・唐音のうち、唐音はかなり特別です。代表的な例としては、「行灯」をアンドンと読んだり、「椅子」をイスと読んだりするのが、これにあたります。現代日本語でよく使われる熟語で、唐音で読む例はそんなに多くはないので、これは、1つ1つ覚えていく方が早いと思います。
で、問題は呉音と漢音の見分け方。専門書を調べると、いろいろと難しいことが書いてあるのですが、それを理解するためには、各漢字の音読みの旧仮名遣いや、現代中国語音などを予備知識として知っていなくてはならず、私たちのような一般人の理解できるところではありません。それでも、「だれでもわかる法則」として、次のようなものを挙げることができます。

1 ナ行で始まる音読みとザ行で始まる音読みの2つがある場合、ナ行の方が呉音、ザ行の方が漢音である。例:日=ニチ・ジツ、然=ネン・ゼン、若=ニャク・ジャク
2 ナ行で始まる音読みとダ行で始まる音読みの2つがある場合、ナ行の方が呉音、ダ行の方が漢音である。例:男=ナン・ダン、女=ニョ・ジョ、怒=ヌ・ド
3 マ行で始まる音読みとバ行で始まる音読みの2つがある場合、マ行の方が呉音、バ行の方が漢音である。例:米=マイ・バイ、万=マン・バン、美=ミ・ビ
4 同じ行の濁音(ガ行・ザ行・ダ行・バ行)で始まる音読みと清音(カ行・サ行・タ行・ハ行)で始まる音読みの2つがある場合、濁音の方が呉音、清音の方が漢音である。例:極=ゴク・キョク、成=ジョウ・セイ、白=ビャク・ハク
5 チで終わる音読みとツで終わる音読みの2つがある場合、チの方が呉音、ツの方が漢音である。例:一=イチ・イツ、八=ハチ・ハツ、質=シチ・シツ

いかがでしょうか?この5か条の法則で、漢字全体のうち、いったいどれくらいの見分けがつくのか、私にもわかりませんが、なんらかの足しにはなるかと思います。ちなみに音読みが1つしかない場合は、漢音・呉音の区別がないわけですから、注意してください。
こうやって呉音・漢音の区別を眺めていると、なんとなくですが、呉音の方がまったりしたような、ねばっこいような響きがあるように感じられてきませんか?そのあたりの共通する感覚をつかんでしまうと、たいがいが判別できてしまうのかもしれません。

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