以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0404
旧字体の「亞」の筆順を教えてください!
A
これまでも何度か触れてきた通り、筆順に関して正式に定められたものは、文部省著作『筆順指導の手びき』(1958年)しかありません。ただし、この本の中では当時の教育漢字881字について筆順が示されているだけです。この本そのものが小学校の先生向けに書かれたものですし、当時は当用漢字の全盛期だったこともあり、それ以外の漢字はお呼びでなかったのでしょう。
現在、一般に流布されている筆順の解説書などは、たいてい常用漢字(1945字)プラスアルファを扱っています。そこで、『筆順指導の手びき』に示された881字以外の漢字については、それぞれが独自に類推して筆順を示していることになります。常用漢字ですらそんな感じですから、ましてや旧字体となると、その筆順を公式に定めたものはありませんし、民間の解説書・辞書などでもほとんど取り扱うことがありません。
というわけで、「亞」の筆順に関しても、適当に類推してお答えするしかないのが実情です。それをご理解いただいた上で、だいたい、以下のようなところだと考えれば、おおかたの賛同を得られるのではないでしょうか。
筆順とは、整った形の漢字を書くための方法でしかありません。こういう順番で書いておくと、比較的きれいに書きやすいよ、という経験則です。書道などの芸術的な分野ではともかく、一般社会のコミュニケーションの上で重要なのは、あくまで書き上がった漢字の形です。筆順には、あまりとらわれすぎないことが大切です。