当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0264
漢字検定では「巣」の部首は「ツ」となっていますが、私の持っている辞書には「ツ」という部首はありません。どうしてですか?

A

Q0025でもご説明したように、漢和辞典によって、漢字の部首には違いがあります。特に、当用漢字によって新字体が採用された漢字の中には、漢和辞典によって所属部首が異なるケースが多くあります。「巣」も、そのうちの1つです。
026401「巣」の旧字体は、図のような形をしていました。これは、木の上に作られた鳥の巣を表す象形文字だと言われています。この漢字は、その形から、従来は「巛(まがりがわ)」という部首に所属していました。
ところが、新字体の「巣」が採用されたことによって、この字の形からは「巛」が消えてしまいました。そこで、漢和辞典の対応は大きく2つに分かれました。1つは、似たような境遇にあった「単(旧字体は「單」で、部首は「口」)」「厳(旧字体は「嚴」で、部首は「口」)」などを合わせて、新たに「ツ」という部首を作るやり方です。もう1つは、「巛」があろうがなかろうが、従来のままの部首にしておく、というやり方です。
そこで、現在の漢和辞典では、「巣」の部首を「ツ」にしているものと、「巛」にしているものとの大きく2つの流れがあるのです。
ところで、漢字検定とからんで、部首に関するこのようなご質問をいただくことが、多くあります。漢和辞典によって部首に違いがあるという事情は、ご説明したとおりなのですが、検定試験を受けるときには、そんなことを言っても始まりません。要は、漢字検定を受けるのなら、漢字検定の公式な参考書に書いてあることを覚えるしかないようです。
漢和辞典編集者としては、こういう問題点のある部首を試験に出し続ける漢字検定には、ちょっと苦言を呈したいところではありますが……。

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