以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0250
音読みと訓読みの見分け方って、あるんですか?
A
音読みとは、もともと中国語としての漢字の発音に基づく読み方です。一方、訓読みは、その漢字の持つ意味を日本語に翻訳したところから生まれた読み方です。そこで、音読みはその発音に中国語の特徴を残しているのに対して、訓読みにはそんな特徴はありません。このことを利用して、音読みと訓読みをある程度見分けることが可能です。
具体的にご説明しましょう。まず、音読みは、かなで書くと必ず3文字以下になります。これは、中国語では漢字1文字が必ず1音節で発音されることの名残です。したがって、「比」を「くらべる」と読んだり、「慌」を「あわただしい」と読むなど、4文字以上になる読み方は、訓読みだということになります。
3文字になる場合でも、音読みには共通した特徴があります。それは、2文字目が必ず小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」になる、ということです。そこで、「思」を「おもう」、「遊」を「あそぶ」と読むのは、明らかに訓読みということになります。逆に、たとえば「流」を「りゅう」、「小」を「しょう」と読むようなものは、音読みと考えてまず間違いありません。。
2文字になる読み方でも、音読みには共通した特徴があります。それは、2文字目は必ず「い」「う」「つ」「く」「ち」「き」「ん」のいずれかである、という特徴です。したがって、「家」を「いえ」、「浜」を「はま」と読むのは、訓読みということになります。
しかし厄介なのは、2文字目が「い」「う」「つ」「く」「ち」「き」「ん」で終わる読み方の中には、訓読みも混じっている、ということです。たとえば「靴」を「くつ」と読むのは、「つ」で終わりますが、訓読みです。そこで、これらに1文字の読み方を加えたものが、音読みか訓読みか、判断に迷うもの、ということになります。
これら判断に迷うものは、結局は、1つ1つ個別に辞書で調べていくしかありません。残念ながら、音読みと訓読みの絶対的な判別法というものは、存在しないようです。