以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0232
「切切」ということばは、セツセツと読むのが正しいのですか、それともセッセツと読むのが正しいのですか?
A
大きい「ツ」か、小さい「ッ」か。微妙な違いですよね。でも気になり出すと夜も眠れなくなるそのお気持ち、よくわかります。
国語辞典や漢和辞典で「切切」ということばを調べてみると、その読み方は圧倒的にセツセツです。小さな「ッ」を使ったセッセツは、残念ながらほとんど見つかりません。セツセツが正しい、と考えてよいでしょう。
と、ここまでであれば、明解なお答えで、我ながら今夜はぐっすり眠れそうなのですが、ものごとはそう単純にはまいりません。圧倒的少数派のセッセツにも、それなりの根拠がないわけではないのです。
Q0133でご説明したことと少し関連してくるのですが、「~ツ」と音読みする漢字の直後に、カ行・タ行・ハ行で始まる音読みをする漢字が続く場合、「~ツ」が「~ッ」に変化することが非常に多いのです。たとえば「説得」は、セツ+トク=セットクとなりますし、「発行」はハツ+コウ=ハッコウとなります。これと同様に、直後がサ行で始まる音読みをする漢字の場合も、「~ツ」が「~ッ」に変化することがあります。「節制」はセツ+セイ=セッセイ、「発送」もハツ+ソウ=ハッソウ、といった具合です。
この法則を当てはめると、「切切」がセツ+セツ=セッセツとなってもおかしくはありません。ただし実際には、この法則に当てはまらない読み方もたくさんありますし、「切切」の場合は、同じ漢字が2字続いているという特殊事情もあります。セッセツにも情状酌量の余地を残しつつ、やはり、セツセツが正しい、としておくのが、安眠のためにもよさそうです。