以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0191
名前の漢字で「示」+「右」という漢字がありますが、これをパソコンで表示することはできないのでしょうか?
A
この漢字はかつて、人名用漢字の許容字体と呼ばれていた漢字の1つです。以前の人名用漢字の中には、その字の旧字体の使用が認められているものがありました。その旧字体のことを、許容字体というのです。
この字の場合、当時、人名用漢字としてふつうに認められていたのは「祐」という字体です。これに対する旧字体が、「へん」のカタカナのネに似た部分を「示」に置き換えた漢字なのです。
人名用漢字の許容字体は、全部で205文字ありましたが、その中にはふつうのパソコンで表示することができる、いわゆるJIS漢字の第1・第2水準に入っていない漢字が、少なからずあって、この「示」+「右」の漢字も、その1つなのです。人名での使用を認められているのにパソコンでは表示できない、というのも妙な話ですが、文句を言っても始まりません。
2004年の人名用漢字の改定で、許容字体はすべて、人名用漢字本体へ「格上げ」されました。JIS漢字の第3・第4水準には、かつての人名用漢字許容字体がすべて含まれていますので、いずれ、これらの漢字をパソコンで自由に表示できるようになる日が来るものと思われます。しかし、今のところは、Q0071やQ0144で紹介したような外字フォントを使って表示しておくのがよいと思われます。