以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0189
「くさかんむり」が4画になっている漢字を見かけることがありますが、これを3画で書くと、間違いですか?
A
おっしゃる通り、ちょっとした漢和辞典の「くさかんむり」のところを調べてみると、図のように「くさかんむり」の真ん中が切れて4画になっている漢字がたくさん見つかります。ふつう私たちが学校で習う「くさかんむり」は3画ですから、ご質問のような疑問をお持ちになるのも当然のことでしょう。
この問題について、一般には、昔は「くさかんむり」は4画だったんだ、と説明されています。当用漢字の新字体が制定される以前は「くさかんむりは」4画で書くのが正しかったのだ、と。だから今でも、常用漢字に含まれているものは「くさかんむり」は3画で書くけれど、そうでないものは4画で書くのが正しいのだ、と。
この説明は、もちろんウソではありませんが、正確でもありません。実は、昔でも、「くさかんむり」は4画が「正しい」というのは漢和辞典を中心とする世界だけで、少なくとも一般の活字の世界では、新聞や書籍で使われる「くさかんむり」は、圧倒的に3画が多かったのです。文化庁の調査によると、当用漢字の制定以前の活版印刷の活字を調べたところ、4画の「くさかんむり」はほとんど見出せなかったそうです。
そんなわけですから、「くさかんむり」の3画と4画にこだわるのは、あまり意味のないことだと思います。漢字の字形は、時代とともに変化しています。「くさかんむり」だって、もっともっと昔になると、「艸」という形をしていて画数も6画になってしまうのです。画数にこだわってどれかが「正しい」と決めつけるのではなく、そういう大きな時間の流れに思いをはせてみる方が人生を豊かにしてくれるのではないかと、私には思われるのですが、みなさんはいかがでしょうか?