当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0062
「須」という漢字の左側にある部首名を教えて下さい。

A

これは、ひっかけ問題ですね!
「須」という漢字の左側といえば、「彡」のこと。これが部首になった場合の名称は、「さんづくり」と呼ばれています。しかしちょっと待ってください。「つくり」というのは、Q0053でご説明した「へん」と対照的に、漢字の右半分にあるものを指す名称なのです。ところがこの「須」の場合、「彡」は左側にありますよね。とすると「さんへん」と呼ばなくちゃいけないのでしょうか……。
そこが「ひっかけ」と申し上げたところでして、漢和辞典を調べると、この漢字は「頁」の部首に所属していることがわかります。つまり、この漢字の左側には部首はない、ということになるわけです。では、なぜ「須」の部首は「頁」なのでしょうか。
「彡」というのは、もともと、模様を表す漢字です。「形」「彩」「彫」「影」など、「彡」を部首に持つ漢字には、模様に関係する意味を持つものが多いのです。一方、「須」は、もともと「あごひげ」を表す漢字です。あごひげは顔に生えるものですから、もともと頭とか顔とかいう意味を持つ「頁」の部首に所属する、ということになるのです。
しかしもう少し意地悪に考えてみると、あごひげは顔の模様じゃないか、ということも言えそうに思います。そうすると、「須」の部首を「彡」としても間違いではないとも言えます。そのように判断している漢和辞典も、もしかしたら存在するかもしれません。その場合は、ちょっとおかしいですが、「須」の部首名はやっぱり「さんづくり」と開き直るしかないでしょう。

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