当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0061
「韓」という字の右側の部首名は何というのですか?

A

この「韋」という漢字は、音読みはイ、もともと、動物の皮という意味を持っています。しかし、同じ皮でも、この漢字が表しているのは、「なめしがわ」といって、動物の皮を、毛や脂を取り去って、薬品などを用いて柔らかくなるように加工したものをいいます。一方、「皮」の字は、そういった手を加えないで毛のついたままの「かわ」のことを指しています。そこで、これらの漢字が部首になった場合、区別をするという意味で、「皮」を「けがわ」、「韋」を「なめしがわ」と呼んでいます。
少し本格的な漢和辞典を調べると、「韋」の部首には、「なめしがわ」を用いて作られたいろいろな漢字が載っています。しかし、その中でJIS漢字(第1・第2水準)に採録されているものは、「韜」だけで、これは音読みトウ、「なめしがわ」製の、剣を入れておく袋のことを表す漢字です。
ご質問にある「韓」という漢字も「韋」の部首に所属していますが、この漢字は「なめしがわ」と関係があるわけではないようです。「韋」という漢字には、古くは、取り囲むとか、優れている、とかいう意味もあったようです。「韓」という漢字はもともと、井戸の上に「井」の字形に木を組んだ「井桁」という意味ですから、ここでは「韋」は、「取り囲む」という意味を表していると思われます。
ついでですが、動物の皮を表す漢字には、「韋」「皮」の他に「革」があります。この漢字が部首になるときには、これまた区別する意味で「つくりがわ」と呼ばれます。しかし、国語辞典を調べると、意味的には「なめしがわ」=「つくりがわ」のようなので、「韋」と「革」は、結局、同じものを指しているということになりそうです。

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