以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0014
「相殺」という熟語を「ソウサツ」と読む人がときどきいますが、これも正しいといえるのでしょうか?
A
「殺」という漢字には、大きく分けて2つの意味があります。1つは「ころす」という意味、もう1つは、「そぐ・へらす」という意味です。この2つは、もともと古代中国語での発音が違い、そのため、日本の音読みでも「ころす」の場合は「サツ」、「そぐ・へらす」の場合は「サイ」と読み分けてきました。
「相殺」という熟語では、「殺」という漢字は「そぐ・へらす」という意味で使われていますから、「ソウサイ」と読むのが正しい読み方です。時代劇かなにかで、侍が決闘して相討ちになった、なんていう場合には「ソウサツ」と読むこともあり得ないではないですが、通常は「ソウサツ」は間違いだ、といえるでしょう。