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漢字Q&A

漢字Q&A

Q0528
「巫女」は「みこ」と読みますが、「巫」の字を「み」と読めるのでしょうか。

A

 一つ前のQ0527の続きで、「巫」の名前での読み方について考えてみます。「巫女」という熟語から、「巫」を「み」と読むことはできるのでしょうか。

 「巫女」の読み「みこ」のようなものを熟字訓(じゅくじくん)と言います。熟字訓の説明は、Q0149Q0310をご覧いただきたいのですが、つまりは、「巫(ふ)」と「女(じょ)」が結びついてできた熟語「巫女(ふじょ)」に、「みこ」という日本語(訓)を当てて読んだものが「巫女(みこ)」なのです。漢語の「巫女(ふじょ)」と、日本語の「みこ」の意味が同じである、似ている、ということから、このような読みが生まれています。

 「巫女」という2字が結びついたときに、「みこ」という日本語と深い関係があるということですから、「みこ」はあくまでも「巫女」という2字の組み合わせに限定された読み方となります。よって、「巫(み)+女(こ)=巫女(みこ)」なのではなく、「巫(ふ)+女(じょ)=巫女(みこ)」ということで、「巫」単独では「み」とは読みません。

 より馴染みのある例を引けば、「紅葉(もみじ)」なども、「紅(こう)」と「葉(よう)」が結びついた「紅葉(こうよう)」を「もみじ」と読みます。「紅」を「もみ」、「葉」を「じ」などと読むわけではなく、「紅葉」全体で「もみじ」と読むのです。

 小社の漢和辞典『新漢語林 第二版』でも、「巫」の読みに「み」を挙げていません。ですから、ご質問に対する答えとしては、「巫」の字を「み」とは読まないということになるのですが、しかし、人の名前に用いる場合については事情が違ってきます。

 人名に用いられた漢字の読み方には決まりがありません。その大原則から言えば、「巫」を「み」と読んで差しつかえないのです。

 このほど刊行した小社の『すてきな漢字に出あえる 赤ちゃんの名づけ事典』では、「巫」は人名用漢字になったばかりということもあり、音訓や名乗に「み」は挙げませんでした。その代わり、「『巫』には「み」の読みはないが、名前では今後そう読まれる可能性もある。」という情報を書き添えた次第です。

 名前のつけ方には人それぞれの考えや思いがありますから、名づけの際に、一般的な漢字の用い方、読み方をどこまで気にするかは、一様に論ずることはできません。ただ、漢字の音・訓を知っておくことは、それを尊重する場合にはもちろん、気にしない場合であっても、決して無駄にはならないと思われます。(編集部)

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