当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0477
「創」には「つくる」「きず」という2つの意味がありますが、このようにいい意味と悪い意味を両方持っている漢字は、他にもあるのですか?

A

とってもユニークでおもしろいご質問ですが、とってもお答えしにくいご質問でもありますね!
そもそも、なにをもって「いい意味」と「悪い意味」としましょうか?人間万事塞翁(さいおう)が馬、いいことと悪いことは背中合わせです。何かを作ろうとしてかえって傷を広げてしまうこともあれば、傷を受けた経験が新しいものを作るのに役立つこともあります。
とまあ、そんなムズカシイことは考えないで、思いつくままに並べてみると……。
たとえば「滑」。「滑らかに動く」「滑らかな肌」などの「なめらか」はふつうはいい意味でしょう。しかし「滑る」となると、いまをときめくフィギュアスケートの女神たちならともかく、たいていの人にとっては手痛い経験になるはずです。
たとえば「屑」。ふつうは「くず」と読みますが、この漢字には「いさぎよい」という意味もあります。2004年に人名用漢字が追加された際には、この「いさぎよい」という意味が評価されて、人名用漢字入りを果たしました。
「妙」なんてのも、おもしろいかもしれませんね。「奇妙」「妙なおじさん」の場合には、明らかに悪い意味。でも「絶妙」「妙技」などは、これは最高にいい意味でしょう。
漢字は、1文字でさまざまな意味を持っています。その中から、たとえばご質問のようにいい意味と悪い意味を合わせ持つものを求めて、漢和辞典をあちこち眺め回してみる。また他のテーマを決めて、漢和辞典をひっくり返してみる。これは、なかなか楽しい、暇つぶしになりますよ。
でもそれが、みなさんの人生にとっていいことなのか悪いことなのかは、存じ上げませんが……。

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