当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0476
「糸」の画数は6画だそうですが、字を見る限りでは7画になりそうに思うのですが……。

A

この字も、画数の数え方がむずかしい漢字の1つです。その原因は、Q0029Q0118などでもご説明した、手書きと活字との字体の違いにあります。
047601一般に活字の場合、「糸」は図の左側のような形をしています。一方、手書きの場合には右側のように書くのが「正しい」とされています。両者の違いは、赤く○を付けた部分にあります。
活字のデザインでは、画の折れ曲がった部分を強調して、あたかも折れ曲がりが突き出ているようにデザインされることが多くあります。そこで、この部分を活字の見た目通りに手書きで書くとすると、本来は1画で書くものが2画になってしまうのです。その結果、「糸」の場合は、6画から7画、8画まで、画数の可能性が広がってしまうことになるわけです。
この問題を防ぐため、最近の漢和辞典では、常用漢字レベルの漢字には、手書きに似せてデザインされた活字で筆順を示してあることがほとんどです。画数に関しては、それを参考にして数えるようにしてみてください。
なぜ、そんなヤヤコシイことになっているのか?この疑問については、文字とはそういうものなのです、としかお答えしようがありません。いつも同じセリフで恐縮なのですが、ローマ字にだって、ブロック体と筆記体があるじゃないですか。見かけに惑わされずに実態を見つめる力が大事なのは、漢字の世界だけではないのです。

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