以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0104
「何ヵ所」と「何ヶ所」の使い分けには、何か決まりがあるのですか?
A
一見すると「カ」も「ケ」もカタカナですよね。だからこれは厳密に言うと、漢字に関するご質問ではないですよね……。それでもきちんとお答えしようというのは、何も私がいい人だからではなくて、それなりの理由があるのです。
それは、「何ヶ所」と書いてどうしてナンカショと読むのだい、ナンケショとしか読めないじゃないか?というところから始まります。この「ケ」は、もともと「个」という形が変形したものだと言われています。そしてこの「个」は、「箇」の異体字(略字)なのです。つまり、「何ヶ所」と書くときの「ケ」はカタカナの「ケ」ではなくて、漢字の一種だというわけです。ね、漢字のお話になりましたでしょう?
この「箇」という漢字は、「その」「この」など、特定の物を指し示す働きを持っています。「箇所」の場合は、特定の場所を表しているというわけです。れっきとした漢字の熟語なんですね。
そこで現在では、ナンカショを漢字で書きたいときには「何箇所」と書くのが、最も一般的だとされています。もちろん、「何か所」「何カ所」「何ヵ所」「何ヶ所」といった書き方がされることもありますが、本来は「何箇所」なのです。