当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0043
「火」へんに「華」と書く漢字は何という意味ですか? 漢和辞典を探したけれど見つかりません。

A

このご質問に端的にお答えすると、音読みはヨウ、意味は「光がさかんなようす。かがやくようす。」ということになります。しかし、当Q&Aコーナー的に気になるのは、「漢和辞典を探したけど見つかりません」の方です。
漢和辞典でこの漢字を探そうとすると、読みも意味もわからないとすれば、部首と画数で検索するしかありません。部首は「火」、部首を除いた画数は10画、で問題なさそうですが、ところがここに落とし穴があります。「火」の10画のところを探しても、多くの漢和辞典では、この字は出てこないのです。
004301その理由は、この漢字の右側、「華」の部分の形にあります。たとえば小社の誇る『大漢和辞典』では、この字は図のような形をしています。よく見ると、「華」の「くさかんむり」の真ん中が切れているのと、同様にその下の部分も「十十」のような形になっていることがわかります。なんだか「十」ばっかり5つも書く、ちょっとめんどくさい漢字です。これは実は「華」の旧字体ということになるのですが、それはともかく、このため、この漢字は「火」の12画、ということになるのです。
多くの漢和辞典では、この漢字の字体として、『大漢和辞典』と同じ12画の字体を採用しています。そのため、漢和辞典を探しても見つからない、ということがあり得るのす。
004302この話には実はさらに続きがあります。現代の漢和辞典が規範としている『康熙字典(こうきじてん)』でこの字を調べると、図のような妙な漢字に行き当たります。これは「欠画(けっかく)」と呼ばれる現象で、この字典が編纂された時の皇帝・康熙帝の本名の中にこの字が含まれていたため、それを直接書き記すのはおそれおおいというわけで、縦棒を1本外してあるのです。なにもこんなに大事なところを外さなくても、とも思いますが、そこが皇帝の権威というわけでしょうか。ちなみにこの字は、こんな形をしていても、「火」の12画のところに収まっています。

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