以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0207
「雨」の3画目の最後ははねますが、「あめかんむり」になったときにははねないのはどうしてですか?
A
何度か述べてきたことですが、当資料館の字体に対する考え方は、かなりアバウトです。したがって、「雨」の3画目の最後ははねなくては間違い、というわけでもありませんし、「あめかんむり」になったときにはねたとしても、間違いだとは思いません。
しかし、「あめかんむり」の3画目は、はねないことが多いのも事実です。そして、それにはそれなりの理由があるのだと思います。その理由とは、書きやすさだと思います。
「雨」という漢字を単独で書く場合、3画目が終わったあとに書くことになる、縦棒は、3画目が終わった場所から見て、かなり左上になります。そこで、3画目の終わりは、はねておいた方が、4画目が書きやすいのです。
これに対して、「あめかんむり」の場合は、全体が平べったくなっているぶんだけ、3画目の終わりと4画目の位置関係は、水平に近くなっています。この場合は、3画目の終わりをあんまりはねてしまうと、4画目はかえって書きにくいのです。しかも、「あめかんむり」は、狭いスペースに4つの点を打たなくてはなりませんから、3画目の終わりをはねてしまうと、最後の点と重なってしまいかねません。
このような理由で、「あめかんむり」の3画目の最後ははねないことが多いのではないでしょうか。漢字の字体について考えるとき、書きやすさを含めて考えてみることも必要だと思います。