当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0402
「議決」と「決議」は同じ意味のようですが、なにか使い分けがあるのでしょうか?

A

Q0383の「会社」と「社会」に続いて、逆立ち熟語の第2弾! とりあえず小社『明鏡国語辞典』とかの名高き『広辞苑』(岩波書店)で、この2つの熟語の意味を調べてみましょう。
q402_zuhanふむふむ。こうして眺めてみると、いろんな意味でどっちもどっち、たいして違いがないようにも見えます。
「議」という漢字は、本来、「相談する」という意味を持っています。一部のマニアックな人を除けば、相談とは何かを決めるために行うものですから、「議」と「決」とは、似たような意味を持つ漢字だということができます。
このように、似た意味を持つ漢字が2つ組み合わさって出来ている熟語の中には、その漢字の順番を入れ替えてもほとんど同じ意味の熟語として通用するものが、たくさんあります。たとえば、「運命」と「命運」、「慣習」と「習慣」、「作製」と「製作」、「別離」と「離別」などです。
とはいえ、この種の熟語の間にも、実際面では使い方に微妙な違いがあります。「北朝鮮に対する国連の非難決議」とは言えますが、これを「非難議決」と言い換えてしまうと落ち着かない日本語になります。でも、「非難決議を決議する」「非難決議を議決する」は、両方とも日本語として成立するでしょう。「日本の運命を握る」「日本の命運を握る」はどちらも可能ですが、「運命の人に出会う」はありえても、「命運の人に出会う」はおかしいのです。
こういった違いは、その熟語の前後にどんなことばが続くかによって変わってくる微妙なものです。実際の使用場面に応じて考えていくのが一番だと思われます。

  • facebookでシェア
  • twitterでシェア