以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0311
「川原」に「かわら」とルビを振るときは、「かわ・ら」ですか、それとも「か・わら」ですか?
A
これは、Q0284の「信濃」と似たような問題ですね。
「川原(かわら)」ということばが、「川(かわ)」と「原(はら)」が結び付いてできたということは、ほぼ間違いのないところでしょう。その際、「かわ」の「わ」と「はら」の「は」とが縮まって1つになってしまい、「かわら」となったのです。
だとすると、「かわら」という読み方を、「川」に対応する部分と「原」に対応する部分とに分解するのは、なかなかむずかしいということになります。つまり、「川原」は2文字で「かわら」と読むのであって、その点では、Q0310でご説明した「熟字訓」の一種なのです。
こんなとき、私たち出版社ではたいてい、「川原」の2文字に「かわら」の3文字を均等に割り付けて、ルビを振ることにしています。真ん中の「わ」は、「川」と「原」の境目あたりに来るわけです。
現在のコンピュータ組版技術では、そんなことはお茶の子さいさい。ありがたい時代になったものです。