当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0008
「所謂」はどうして「いわゆる」と読むのですか?

A

「所謂」という熟語は、漢文風に訓読すると「謂(い)う所の」と読むことができます。「謂う」は「言う」と同じ意味だと考えてかまいません。「所」の方は、すこし耳慣れない使い方です。
年配の方であれば、英語の関係代名詞を習ったとき、「~するところの」という訳し方を教え込まれたご経験がおありではないでしょうか。わかったようなわからないような気にさせられるあの訳し方、その「ところ」とこの「所」は同じなのです。つまり「所謂A」は、漢文訓読では「謂う所のA」、英語ではたとえば”what he calls A”、現代日本語で言えば、たとえば「みんなが言っているA」と表現できるのです。
このような働きをする日本語としては、「いわゆる」ということばがあります。そこで昔の日本人は、「所謂」を「謂う所の」と訓読する代わりに、一気に「いわゆる」と読んでしまうことにしたのです。こういうふうに、2字以上の漢字から成る語を、1語の日本語として読んでしまうことを、熟字訓(じゅくじくん)といいます。

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