以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0158
「閉」の「門」の部分は「かまえ」と言いますが、「才」の部分にはなにか名前が付いているのですか?
A
このご質問、目の付け所はなかなかおもしろいとは思うのですが、お答えとしては、「吾輩は猫である」ではありませんが、名前はない、ということになってしまいます。
Q0022でご説明したように、もともと部首というものは、その漢字の一部分を指すものではなく、漢字の辞典において漢字を分類するためのグループ名なのです。したがって、たとえば「かまえ」という部首の名称も、ある部首が、漢字の左右と上側を占めている場合にそう呼ばれることが多い、というだけのことで、そういう漢字の一部分そのものを指している名称ではないのです。
それでも、漢字の左半分を「へん」と呼ぶのに対し、右半分は「つくり」と言うではないか、というご意見があるかもしれません。しかし、たとえば「杉」という漢字は「木へん」に所属していて、「さんづくり(彡)」という部首に所属しているわけではありません。したがって、「杉」は「木へん」と「さんづくり」から成り立つ漢字である、というのは、厳密に言えば、間違った説明と言えるでしょう。より正確に表現するならば、「杉」は「木へん」と「さんづくりに見える部分」とから成り立っている、とでも言うべきでしょうか。
つまり、同一の漢字に部首の名称としての「へん」と「つくり」が同時に存在していることはないわけです。したがって、「へん」でない部分を「つくり」と呼んでいるわけではない、ということなのです。うまく伝わったかどうか不安なのですが、そのことをご理解していただけますと、「かまえ」でない部分には名前が付いてはいない、ということがご理解いただけるのではないかと思います。