以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0525
「舊」や「歡」の最初に書く部分は、「くさかんむり」とは違うのですか?
A
「舊」は「旧」の旧字体、「歡」は「歓」の旧字体ですね。前者の上半分、後者の左半分は、本来はそれぞれ図のような形をした漢字だとされています。小社『大漢和辞典』によれば、左側の漢字は「みみずく」、右側の漢字は「こうのとり」という意味です。
よく見るとわかるように、これらの漢字の頭の部分は、「草かんむり」とは少し違っています。2本の縦棒の間には横棒が全くなく、「┤├」のようになっているのです。これは、「みみずく」や「こうのとり」の頭の部分をそのまま絵に写したのだと言われています。たしかに「みみずく」には耳のように突き出た羽毛がありますから、この「┤├」の部分はそれを表しているのだと想像されます。
つまり、問題の部分は、「草かんむり」とは字源的に別物なのです。ただし、この違いを書き分けるのはかなりめんどくさいので、「草かんむり」と同じように書いてしまうことも多くあります。漢和辞典などを除いては、この違いには無頓着なのが現実です。
同様の例としては、「夢」や「蔑」があります。これらの頭の部分も、本来は「┤├」の形をしていますが、字源としてはさらに違って、「みみずく」の耳ともまた別物だと説明されています。これらもひっくるめて、現実には「草かんむり」と同じように書かれるのがふつうです。