以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0521
お寺の過去帳を見ていたら、カタカナの「ヨ」の下に「大」と書いてある漢字が、戒名の下に書いてありました。何と読むのでしょうか?
A
それは、図のような漢字ですね。これは、小社『大漢和辞典』にも載っていないのですが、JIS漢字の第4水準には収録されていて、日本の古い地名かなにかに使われたことがあるらしく、「霊」の異体字だとされています。戒名の下に書いてあるとすれば、いかにもふさわしい漢字ですね。
『大漢和辞典』には、この字とはちょっと違った、図のような漢字が収録されています。これは、17世紀ごろに中国で編纂された『正字通(せいじつう)』という辞典で「霊」の俗字とされているとのこと。火と霊とは、真夏の夜の肝試しを待つまでもなく、なにかと関係が深いものですから、そのあたりから生じた漢字なのかもしれません。
お尋ねの漢字は、この字の「火」が「大」に変形したものではないかと推測されます。せっかくのおどろおどろしい雰囲気が台無しのようにも思いますが、ご先祖さまに安らかに眠っていただくためには、「大」の方が縁起がいいかもしれませんね。