以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0516
「淡淡」や「飄飄(ひょうひょう)」など、同じ漢字をくり返してできている熟語には、ほかにどのようなものがありますか?
A
これについては、以前Q0201で少し触れたことがあります。まずは、そのとき例に挙げたもの以外で、いくつかご紹介してみましょう。
たとえば、「粛粛(しゅくしゅく)」。「問責決議案は粛粛として否決された」のように、静かでおごそかなようすを表す熟語として使われます。ただし、本来はシッシッとかシュッシュッという音を表す擬音語で、江戸時代の詩人・頼山陽(らいさんよう)の詩の有名な一句に、「鞭声(べんせい)粛粛、夜、河を過(わた)る」とあるのが、その使い方です。
いつまでも続いてとぎれないことを表す「綿綿(めんめん)」なんていうのもあります。これは中国の唐の詩人、白楽天の『長恨歌(ちょうごんか)』の末尾に、有名な用例があります。「此の恨みは綿綿として絶える期(とき)無からん」。引き裂かれてしまった恋人たちの哀しい想いは、いつまでも消えることがない、というのです。
ほかにも、ものさびしいようすを表す「蕭蕭(しょうしょう)」とか、漠然と広がっているようすを表す「茫茫(ぼうぼう)」など、ちょっと思い出してみただけでも、いくらでもありそうですね。
とはいえ、この種の熟語ばかりを探し出そうとすると、国語辞典や漢和辞典を端から見ていくことになって、かなり大変な作業になりそうだなあ。――なんて、思っていたら、最近になって小学館さんから発行された小野正弘編『日本語オノマトペ辞典』の付録に、まとめて載っているのを発見しました。ご興味のある方は、参考にしてみてはいかがですか?