当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0493
昔は、部首の数が540もあったそうですが、いったいどんな部首があったのですか?

A

部首によって初めて漢字を整理したのは、許慎(きょしん)という人で、紀元1世紀、『説文解字(せつもんかいじ)』という字書を作ったときのことでした。それ以後、部首の数は時代とともに減っていって、現在では約210に整理されているわけですが、その過程で悲しくも消えていった部首の中には、現在からするとぜひ復活させたいものもあります。
たとえば、「男」。現在の漢和辞典でこれを部首に立てているものは、ほとんどありません。「女」は部首なのに「男」が部首でないのはケシカラン!と、権威の低下に悩む世の男性陣から文句が出そうなのですが、『説文解字』には「男」という部首がきちんとあります。ここに含まれるのは、「男」のほか、「舅(しゅうと)」と「甥(おい)」。現在では、前者は「臼」部、後者は「生」部に入っているのですが、こんなマイナーな部首に置いておくよりは、「男」部を復活させた方がわかりやすそうですよね。
049301現在では「土」部に所属している「幸」も、『説文解字』では一国一城の主。今でもよく使われる漢字として「執」「報」がありますから、手下を率いて独立するだけの力はありそうです。
また、「民」は、現在では「氏」部に入っていますが、これはやや強引ですよね。『説文解字』では「氓(音読みボウ。移民・庶民という意味)」とたった2人で一家を張っています。判官びいきの私としては、コイツも復活させてやりたい気がします。
Q0024でもご紹介した「光」は、残念ながら『説文解字』でも独立した部首にはなっていません。でも、10世紀末に編纂された『龍龕手鑑(りょうがんしゅかん)』という字書には、図のようにきちんと「光」部があります。これも機会があれば、一人前の部首にしてやりたいところです。

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