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漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0479
「年」という漢字の成り立ちについて教えてください。

A

この漢字ほど、身近でありながら、独特な形をしている漢字もないでしょう。どう分解しても他の漢字は含まれていそうにないですし、どう組み合わせても、他によく知られた漢字が生まれそうな気配もありません。
047901「年」を篆文(てんぶん。篆書)にまでさかのぼると、図のような形をしています。この上半分は「禾(のぎ)」、下半分は「千」です。この「禾」と「千」を組み合わせた漢字が、だんだんと変化して現在のような字形になったのだと言われています。
「禾」は、「種」「稲」「穂」などの部首となっていることからもわかるように、「穀物」を表す漢字です。「年」にもこの意味は生きていて、本来、「年」とは穀物が実ることを意味していて、それが転じて、実りの周期、一年を表すようになったとされています。
ここで問題なのは、「千」の位置づけでしょう。「禾」に「千」を加えて、どうして「穀物が実る」という意味になるのか?「千」は数が多いことを表しているのだとか、いやいや、この「千」は単に発音を表しているだけで「年」は形声文字なのだとか、例によっていろいろな説があるようです。
生い立ちがいずれであったにしろ、「年」にとって重要だったのは、「穀物が実る」意味から「とし」の意味へと変化したことでしょう。その結果、「年」はひんぱんに使われる漢字となったのです。そう考えると、「年」の字形が崩れて独特の形になったのも、くり返しくり返し、いろいろな人によって書かれ続けてきた結果なのだろうと、感じ入ってしまいます。
我が身を崩してでも、人様のお役に立ってきた。――なんともカッコイイではありませんか、「年」ってヤツは!

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