以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0431
「服部」はなぜ「はっとり」と読むのですか?
A
「服部」と聞いて思い出すのは、なんといっても忍者ハットリくん。世の服部さんの大半は、子どものころ、おそらく一度や二度は、「ニンニン」と言わされた経験があることでしょう。
というわけで、かの服部半蔵以来、日本人にとってはどこか「忍び」のイメージがある「服部」ですが、語源的には、だいぶ違うところがあります。
「服部」とは古くからある姓氏の1つで、古代の日本で、衣服を作っていた人々に起源があるとされています。漢字としては、「服」は「衣服」、「部」は「グループ」、といったところでしょうか。
この人たちの仕事が主に機織りだったことから、「服部」は「はたおりべ」と読まれていました。それが「はたおりべ」→「はとりべ」→「はっとり」と変化したのが、「服部」を「はっとり」と読む理由だと言われています。
つまり、語源をさかのぼっていくと、忍者が転じて織り姫様になる、というお話。「服部」と聞けばすぐ忍者を思い出す私などは、わが短絡思考を深く反省しなくてはならないのでした。