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漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0412
「河岸」という熟語は、「かし」とも「かわぎし」とも読みますが、意味は違いますか?

A

ふつうに「かわぎし」と読んだ場合、意味としてはなんの変哲もなく、「河の岸」ということになります。もちろん、海や湖の岸は、含まれません。
ところが、「かし」と読んだ場合は、事情が少々違ってきます。基本的には「河の岸」なのですが、中でも特に、船荷の上げ下ろしをする場所をさして「河岸(かし)」と呼ぶことが多いのです。さらには、その船荷を売買する市場、特に魚市場を指すこともあります。はちまきを巻いたいなせなあんちゃんが働いているのは、この「魚河岸(うおがし)」です。
そして、おもしろいのは、「河岸(かし)」の場合は、海や湖の岸に対しても用いられることがある、ということでしょう。単なる岸辺ではなくて船荷を扱う岸辺として意味が限定される代わりに、河だけでなく海や湖へと用途が広がったのです。
ところで、この「かし」の語源については、例によって定説がないようです。「かわぎし」が短縮されたという説、昔、船をつないでおく杭を「かし」と言ったことから、それが転じた語だという説などがあるようです。いずれにせよ、この「河岸(かし)」は、漢字2字に日本語1語をあてはめた熟字訓の1つだと言えるでしょう。

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