以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0395
「流石」はどうして「さすが」と読むのですか?
A
昔むかし、中国でのこと。常日ごろから、「石を枕にして、川の流れでうがいをするような、そんな自然と一体になった生活がしたい」と思って暮らしている、アウトドアな孫楚(そんそ)という人がいました。あるとき、彼は、そんな自分の気持ちを友人に伝えようとして、うっかり「川の流れを枕にして、石でうがいをするような、そんな生活をしたい」と言ってしまいました。まあ、よくある言い間違いというやつです。
ところが、友人の方も人が悪くて、「川の流れは枕にならないし、石ではうがいはできないよ」とツッコミを入れます。困った孫楚は、よせばいいのに、「川の流れを枕にするのは、耳を洗うためだし、石でうがいをするのは歯を磨くためだよ」と、苦しい苦しい言い訳をした、ということです。
「流石」と書いて「さすが」と読むのは、この話が元になっている、という説があります。「孫楚もとっさにうまい言い訳をしたものだ、さすがだなあ」というわけです。しかし、この説が正しいのかどうか、本当のところはわかりません。そもそも、孫楚の言い訳は、「さすが!」と感心するほどのものとは思えませんよね。話半分に聞いておいた方がよいでしょう。
とは言うものの、「何か別の説があるのかい、キミ」と聞かれると困ってしまうのも、これまた事実。ここは孫さんには反面教師になっていただいて、言い訳などせず、「ごめんなさい。わかりません」と申し上げておくことにいたしましょう。