以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0235
姓名判断では、「理」という漢字が11画だったり12画だったりしますが、どう数えれば12画になるのですか?
A
現在の姓名判断の源流になっているのは、1881年生まれの熊崎健翁(くまざきけんおう)という人が、昭和初期に始めた「熊崎流」というものですが、この熊崎流の画数の数え方にはいくつかの特徴があります。そのうち、今回のご質問に関連してくるものとして、次のようなものがあります。
曰わく、「部首の画数は、『康熙字典』の部首画数を用いる。」
どういうことかと申しますと、たとえば「さんずい」の画数は、誰が数えても3画です。しかし、「さんずい」はもともと「水」が変形して生まれたものです。したがって『康熙字典』では、「さんずい」を部首とする漢字は全て、「水」部に収められているのです。そこで熊崎流の姓名判断では、「さんずい」を数えるとき、「水」の画数である4画と数える、というわけです。
さて、そこで問題の「理」です。この字の部首は「王」ですが、これはもともと「玉」の変形なので、『康熙字典』では5画の「玉」部に収められているのです。そこで熊崎流では「理」の画数を、「玉」の5画と「里」の7画とを合わせて、12画と数えることになります。
現在では姓名判断にもいろいろな流派があるようで、以上のような数え方をしない場合もあるようです。しかし、画数は姓名判断の基礎になる部分ですから、それぞれの流派でこだわりはあるようです。なにしろ、1画違えば運命が大きく変わってくるというのですから。
私はけっして、姓名判断の専門家でもなんでもないのですが、姓名判断に関係して漢字の画数についてご質問をうけることがけっこうあります。そこで、以前、姓名判断について少し調べてみた結果、以上のような知識を身につけたわけです。
子どももいないのに姓名判断について勉強しなくちゃならないなんて、漢和辞典の編集担当というのも、なんだか因果な商売だという気がしてきましたよ、全く……。