以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0351
「〆切」の「〆」は、漢字ですか?
A
以前、Q0009で「々」は漢字ではない、というお話をしたことがありました。その理由は、「字」であるためには少なくとも一定の読み方を持っている必要があるが、「々」にはそれがない、ということでした。
この議論からすれば、「〆」は「しめ」という読み方を持つ立派な「字」だということになります。そうして、この字は何かを「しめる」という場面でしか使われないことから、ある特定の意味を持っていることになります。つまり、「〆」は表意文字なのです。だとすれば、漢字の仲間から締め出す理由はないでしょう。もっとも、この字は中国では使われませんから、日本で作られた漢字、いわゆる「国字」だということになります。
というわけで、『大漢和辞典』では「ノ」の部首にこの漢字を収録しています。ちなみに、総画数は2画です。『大漢和辞典』によれば、この字はもともと「うらなう」という意味を表す「卜(音読みはボク)」という漢字が変形して生まれたものだ、と説明されています。昔、家を建てるときにはまず建てるべき場所をうらなったことから、うらなうことはその場所を手に入れること、つまりその場所を独占すること、占めることだ、というわけで、「しめる」という意味で使われるようになった、とのことです。
なになに、かなりキビシイ説明ではないかい、ですって?私もそう感じます。でも、「占」という漢字だって、「うらなう」と「しめる」の両方の意味を持っています。それなりの根拠はあるのではないでしょうか。