以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0255
横浜中華街に「謝甜記」というお店があります。お店の人に尋ねたら「謝甜」は創業者の姓名で、「記」はお店のことだとのことでした。中国語の「記」には、このような意味があるのでしょうか?
A
「謝甜記」ですか、お粥で有名なお店ですよね。一度、入ってみたいと思っているのですが、いつも行列が出来ていて、残念ながら入ったことがありません。
現代中国語では、「記」にお店の意味があります。現代のことばなので、古典のことばを中心とする漢和辞典にはあまり出てきませんし、中日辞典にも、あまり出ていないようです。ただし、『大漢和辞典』には「商家の屋号の下に添える接尾語」とありますし、愛知大学編・小社販売の『中日大字典』にも、「経営者の記号」という説明があります。
「謝甜記」の場合も、経営者を表す記号だと思われます。オイスターソースなど、中華の調味料メーカーとして有名な「李錦記(リキンキ)」は、「李錦裳」という方が創業されたそうですから、そのお名前に、この用法の「記」を付した例でしょう。また、横浜中華街だけではなく、たとえば神戸の南京町にある豚まんで有名な「老祥記(ロウショウキ)」というお店なども、同じような用例だと思われます。
ああ、お粥といい、オイスターソースといい、豚まんといい、おいしそうなものばっかりですね。今度の休みには、私も中華街へ出かけるとしましょうか!