当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0245
「処」の左側の「夂」は、「すいにょう」ですか、「ふゆがしら」ですか? 「すいにょう」のところを捜してもこの字が見つからないのですが……。

A

中国最古の文字学書『説文解字(せつもんかいじ)』では、この漢字は「夂」と「几」とからなる会意文字だとされています。「几を得て休む」と書いてありますから、「几」は肘掛けなり台なりを表していて、それにに寄りかかって休憩することを表す、というのでしょう。
ただし、この説明だと問題の「夂」がいったい何者なのかは、よくわかりません。そのせいかどうかわかりませんが、『説文解字』はこの字の部首を「几」にしています。そこで、現在の漢和辞典でも、「処」の部首を「几(つくえ)」にしていることが多いのです。「すいにょう」のところを捜しても見つからなかったのは、おそらくそのせいでしょう。
さて、問題の「すいにょう」か「ふゆがしら」か、という件ですが、この2つの区別は非常に難しいのです。両者の違いは、漢和辞典によって説明がまちまちで、実際のところ、かなり古くから混用されてきたようです。「処」の場合、現代の漢和辞典でも「夂」の解釈は一定していません。
「処」の「夂」が何を表しているにせよ、部首は「几」なのですから、やれ「ふゆがしらだ」やれ「すいにょう」だと議論すること自体に、あまり意味がないともいえます。無責任なようですが、この点についてはあまりこだわらない方がよさそうです。

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