以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0240
「博」や「専」と似た漢字に「恵」がありますが、この右上に点を打ったら、間違いですか?
A
「博」と「専」の点のあるなしについてQ0218でご説明したら、こんどは「恵」に関するご質問です。一難去ってまた一難、という感じですね。
「恵」については、点を打たないのが「正しい」字体です。この字の詳しい字源については、いろいろな説があるようですが、少なくとも「心」とそれ以外の部分に分けることができる、という点では一致しているようです。この「それ以外の部分」は、現在、私たちが使っている字体では省略されてしまっていますが、もともとは図のような形をしていました。
この形を見てピンときた方は、このQ&Aコーナーの熱心な読者ですね。そうです。これはQ0218でご説明した「専」の旧字体にも含まれている形ですよね。つまり、「恵」は「専」の仲間なのです。したがって、「専」に点が付かないのと同様に、「恵」にも点は付かないのです。
Q0218では、「博」や「補」の右上の部分はもともと「甫」という形をしていて、これらの漢字がハクやホというハ行の音読みを持っているのは、その名残だということをご説明しました。「恵」の音読みはケイ。点が付かないことと音読みがハ行でないことは、ここでも一致しているのです。
そこで、この問題については、こういう法則が生まれます。いわく、「音読みがハ行であれば点が付く。」なかなか便利な法則でしょう?