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漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0145
小学校で学習する漢字は、1年生でも「草」のように比較的複雑な字がある一方で、六年生でも「仁」のような平易な漢字が出てきます。この配当はいったいどのような基準で決まっているのでしょうか?

A

小学校で学習するように指導要領で定められている漢字のことを教育漢字といいますが、これはもともと、1947(昭和22)年に制定された「当用漢字別表」で定められたものです。この「別表」には、義務教育段階で学習すべき漢字として881字が掲載されていましたが、この段階では、それぞれの漢字を何年生で学習すべきかについては、特に定めはありませんでした。
しかし、それでは教育上なにかと具合が悪いということから、学年配当についての議論がなされ、1958(昭和33)年の学習指導要領の改定の際に、「学年別漢字配当表」が制定されるに至ります。その間、文部省内にも「漢字指導研究会」が設けられて研究をしたほか、実験校に依頼して調査を行うなどなされたようです。その結果として、ものの本によれば、学年配当の基準となったのは、次の4項目を基準だそうです。

1 社会的に使用度の高いものは先に出す。
2 児童の生活に関係の深いものは先に出す。
3 字画が基本的なものは先に出す。
4 覚えやすいものは先に出す。

この基準からすると、「草」は「仁」よりも児童の生活に関係が深いので、より低い学年に配当されているのだろうと思われます。
この後、教育漢字の学年配当にはいくつかの変更が加えられ、教育漢字そのものも現在では1006字にまで増えています。現在の学年別配当を眺めていると、だいたい、上記の4項目のうち、番号の若い順に優先順位をつけて配当を決めている、と理解すればよいのではないでしょうか。

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