以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0160
「椥」という漢字は、なんと読むのですか?
A
この字は、日本で作られたいわゆる国字と呼ばれる字です。したがって音読みはなく、訓読みで「なぎ」と読みます。京都市の山科区には「椥辻」と書いて「なぎつじ」と読む地名があり、京都市営地下鉄東西線にも「椥辻駅」があります。同じく東山区には「椥ノ森」と書いて「なぎのもり」と読む地名もあるようです。ただし、こういった固有名詞以外でのこの字が用いられた例は、いまのところ、見つかっていないようです。
パソコンで簡単に表示できるJIS漢字の中には、このように日本の地名にしか使われない漢字が数多く採用されています。こういった漢字は、インターネットで検索をかけるとすぐにヒットはするものの、固有名詞にしか出てこないので、意味がよくつかめないことが多いと思います。そういった時に役に立つのは、やっぱり、漢和辞典。最近の漢和辞典は、JIS漢字は全て収録しているものが多いので、この「椥」のような漢字も載っているはずです。そして、そこには、日本の地名で使われる漢字だという記述がなされているはずです。
古い漢和辞典を使っているみなさん。そろそろ買い換えをお考えになってはいかがですか。その際は、小社の『新漢語林』をぜひどうぞ!と、たまには宣伝をしておきましょう。
(注)その後、読者の方からこの字が中国で刊行された『漢語大字典』や、台湾の文字コード表に載っているとのご指摘をいただきました。日本と中国とでどちらが早いのかは検討を待たねばなりませんが、「国字」と断定するのは、早計のようです。