以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0114
IMEパッドで、縦棒4本に、横棒を1本引いた字を見たのですが、これはどういう意味の漢字ですか?
A
数の20を表す「廿」という字は、もともと「十」に縦棒を1本足してできあがったものだ、ということをご存知の方は多いでしょう。そして、さらに縦棒を1本足した「卅」(30)という漢字もあることをご存知の方も、いらっしゃるでしょう。とすると、ご質問の図のような漢字は、当然ながら40ではないかと予想されますよね。それで間違いはないのです。
こうなるとうれしくなってきてしまって、どこまで続くのか知りたくなるのが人情というもの。ところが残念なことに、ここまでなんです。『大漢和辞典』を調べても、他の字典を調べても、横棒1本に縦棒5本で50、という漢字は出てこないんですよね。そこまでいくと、さすがに見にくいんでしょうね。5本の線を書くのもたいへんで、かえってめんどくさそうですし……。
ただし、代わりといってはなんですが、「百」を2つ横に並べて200というのはあります。でも、こちらはさらに甲斐性のないことに、300はありません。
これらの漢字、最近作られた俗字かと思いきや、「廿」も「卅」も、紀元1世紀の中国で作られた『説文解字(せつもんかいじ)』という字書に出ているというから驚きです。そのころにはすでにしっかりと存在していたというわけで、昔の人も、めんどくさがりが多かったのかもしれません。