以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0092
人名で「海人」と書いて、なんと読みますか?
A
これも、Q0077やQ0091と同様の質問です。人名の場合、決まった読みというのがなく、非常に多様な読み方がされるため、漢字の方から読みを決めるのはなかなかむずかしいのです。とはいいつつも、せっかくですからちょっと調べてみました。
まず、「海人」が姓(上の名前)の場合。30万もの姓を収録したという、丹羽基二編『日本苗字大辞典』(芳文館)によりますと、この漢字表記の姓として、「あま」「あまひと」「あやひと」の3つがあるようです。
次に、名(下の名前)の場合。まずは分解して考えると、「海」の読み方としては、「かい」「うみ」のほか、Q0077でご説明した「名乗」として、「あま」「うな」「み」などがあるようです(小社『新漢語林』)。「人」の方はもっと複雑で、「じん」「にん」「ひと」のほかに、名乗として「きよ」「さね」「たみ」「と」「ひとし」「ふと」「め」「むと」などがあるようです(同前)。
そこで可能性としては、これらを組み合わせた読み方、ということになるわけですが、最近では、名乗の範囲も広がっているようですから、もっとびっくりするような読み方がある可能性もあります。
さらにそれだけでは話は終わりません。「海人」2文字を組み合わせて、また違う読み方をする可能性もあります。たとえば沖縄の方言では「海人」と書いて「うみんちゅ」と読むそうです。そんな名前も、ないとはいえませんよね。
結局のところ、やっぱり「ご本人に聞いて下さい」としかいいようがないのでした。