当館では、『大漢和辞典』を始めとする漢和辞典を発行する大修館書店が、漢字や漢詩・漢文などに関するさまざまな情報を提供していきます。

漢字Q&A

漢字Q&A

以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。

Q0087
「莇」という漢字は何と読むのですか? 漢和辞典にものってません。

A

それはそれは!いけない漢和辞典ですねえ。
この漢字は、中国でも古くから使われている漢字で、音読みはチョまたはショ、意味としては、クコという植物の名前だったり、中国古代の井田法(せいでんほう)という土地制度のことを表したりします。
しかし、日本では、主にアザミという植物を表す漢字として使われます。特に、人名や地名の中に用いられることが多く、芝野耕司編『増補改訂JIS漢字辞典』(日本規格協会)によりますと、兵庫県に「下莇原」(しもあざわら)、京都府には「莇谷」(あざみだに)などと、主に西日本にこの字を含む地名が存在しています。読みは「あざみ」を基本形として、「あざ」「あぞう」「あどう」「あん」などと変化をするようです。
さて、この漢字、JIS漢字でもいわゆる第1・第2水準に入っていて、パソコンなどで容易に表示することのできる漢字です。最初に「いけない漢和辞典ですねえ」と申したのは、その点です。現在の漢和辞典は、そのほとんどがJISの第1・第2水準の漢字を全て収録しています。この漢字が載っていない漢和辞典は、かなり小さなものか、JIS漢字制定以前の、ちょっと古いものか、どちらかではないでしょうか。

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