以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0074
「鯤」という漢字はコンと読むそうですが、ほかに読み方はないのでしょうか?
A
この漢字は、意味としては、タラコとかカズノコのような、「魚が産卵する前の、卵のかたまり」を表している漢字です。そこで、日本ではこの漢字に、同じ意味を表す「はららご」という日本語を当てて、訓読みとして用いています。また、同じ意味の「はらご」という日本語を、訓読みとして当てることもあります。
用語集の訓読みのところで触れましたが、訓読みとはこのように、その漢字が中国語として表す意味を、日本語に置き換えたものなのです。一種の翻訳ともいえるわけです。
もっとも、この漢字の表す意味を単純に日本語に翻訳するなら、「さかなのたまご」とか「さかなのこ」というような翻訳のしかたもありそうです。平安末期ごろの漢和辞書『類聚名義抄』(るいじゅうみょうぎしょう)で、この漢字に「ウヲ(オ)ノコ」という訓を与えているのは、わかりやすい翻訳といえそうです。