以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0069
人名で、「胞」の下に「衣」を書く漢字の後に「男」と書いて「いなお」さんという方がいらっしゃるのですが、この漢字は、どんな意味なのですか?
A
具体的に言えば、図のような漢字のことですね。この字はいわゆる「国字」とされている漢字です。ですから、音読みはなく、訓読みとしては、一般的には「えな」と読まれています。「えな」とは、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんを包んでいる膜や、胎盤、へその緒などのことをすべてひっくるめていいます。
さて、この漢字の成り立ちですが、「えな」を漢字で書くときには「胞衣」と当てるのですが、これを1字に縮めてしまったのが、この字ではないか、と言われています。強引といえば強引ですが、まあ、わかりやすい国字であるともいえましょう。
この字、姓として「えな」「いな」と読まれることもあります。「いな」と読むのは、「えな」がやや訛ったものでしょうか。