以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0067
「小人」という熟語を音読みするとき、「ショウニン」と「ショウジン」のどちらが正しいのですか?
A
漢字の音読みには、それが中国から伝わってきた時代などによって区分される、漢音・呉音・唐音などと呼ばれるグループがあります。そして、例外も多くあるのですが、漢字が2字結びついて熟語となった場合、片方を漢音で読めばもう一方も漢音で読む、呉音で読めば呉音で読む、というのが普通です。
「人」という漢字の場合、漢音はジン、呉音はニンです。そこで、ショウが「小」の漢音であるか呉音であるかによって、どちらが正しいか判断がつくはずです。ところがこの漢字、漢音も呉音もショウなのです。ですから、この面から考えて、どちらかに軍配を上げることはできません。
国語辞典を調べてみると、「小人」という熟語は、「ショウニン」「ショウジン」どちらの読みでも収録されていますが、使い分けがあるようです。それらによりますと、特に現代においては、「ショウニン」は、運賃や入場料に関連して、「こども」のことを表す場合に用いられ、「ショウジン」は、小さな人、度量の小さな人などの意味で、もっと幅広く用いられるようです。
ところで、「小人」の反対語として「大人」があります。先ほどの漢音・呉音の関係でいきますと、漢音で読む場合は「タイジン」、呉音で読む場合は「ダイニン」となります。そして、「タイジン」は大きな人、度量の大きな人などの意味で用いられるのに対して、「ダイニン」は、運賃・入場料に関連して用いるのが普通なのです。
このあたり、うまく対応していて、見事だと思いませんか?