以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0027
「偉」と「韓」とでは、右側の「韋」の画数の数え方が違うようですが、なぜですか?
A
たしかに、ふつうの漢和辞典では「偉」は「にんべん」の10画のところに載っていて、「韋」を10画と数えているのに対して、「韓」は総画数17画、左側の部分は明らかに8画ですから、「韋」を9画と数えていることになります。実は、この「韋」という字には2種類あるのです。
この字はもともと、図のような形をしていました。この場合、一番下の「ヰ」のような部分は、左側の縦棒と下の横棒を続けて1画で書いて、3画で数えます。そこで、全体の画数は9画になるわけです。ところが、第2次世界大戦後、当用漢字では、この部分を分けて書く字体が採用されたため、1画増えて10画となったわけです。
では、「偉」と「韓」でなぜこの2種の字体を使い分けているのでしょうか。それは、「偉」は常用漢字(当用漢字の改訂版)であるのに対し、「韓」はそうでないからです。漢和辞典の世界では、基本的に常用漢字(当用漢字)による字体の改変を、常用漢字以外の漢字にまで及ぼすことはしていません。そこで、「偉」では新しい形にし、「韓」では古い形を残している、というわけです。
ただし、2000年になって、常用漢字ではない漢字の字体を定めた「表外漢字字体表」というものが、国語審議会から答申されました。これによりますと、「韓」の場合は常用漢字と同じように10画の「韋」が標準とされています。そこで、小社の『新漢語林』などの最新版の漢和辞典では、「韓」という字を総画数18画とするようになってきています。