以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0018
「衷」の上半分は、「亠」+「中」と書くのが正しいのですか、それとも「十」+「口」と書くのが正しいのですか?
A
この字は「まごころ」という意味の漢字で、「衷心」(チュウシン=心から)などの熟語に使われています。しかし、字源的には「衣」と「中」とから成り、中に着る衣ということで、もともとの意味は「肌着」。体に一番近い衣服というイメージから、「まごころ」の意味に転化していったものと考えられています。ここから考えますと、「亠」+「中」と書くのが正しいと思われます。
この字のように、「衣」という漢字が他の漢字と組み合わさって新しい漢字になる場合、上下に2分割されてその間に他の漢字を挟み込むことがときどきあります。たとえば「裏」は「衣」+「里」、「褒」(ほめる)は、「衣」+「保」、といった具合です。もともと「衣」は、衣服の襟元の象形文字。そう考えるとこれらの漢字は、いかにも「衣」がその中に他の漢字を包み込んでいる感じがして、うまくできた漢字だという気がしませんか?