以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0495
「箸」という漢字の成り立ちを教えてください。
A
漢字の成り立ち、字源に関するご質問にお答えするのは、一苦労です。なんといっても、漢字が生まれたのは今から3000年以上も前の中国でのこと。だれかがタイムマシンに乗って見てきたわけであるまいし、はっきりしたことがわかるはずもありません。
もちろん、学者の先生はいろいろな状況証拠から、ご自分の説を打ち立てるわけですが、文字通り、諸説紛々としていることも少なくありません。そんなわけで、成り立ちに関するご質問については、いろいろな漢和辞典を調べてみて、その中でだいたい一致する部分をお答えしていくしかないのです。
そこで、「箸」の場合ですが、この漢字に「竹かんむり」が付いているのは、本来、「おはし」に竹製のものが多かったからなのでしょう。問題は、「者」の方です。この「者」にはどういう意味があるのでしょうか。
いくつかの漢和辞典で一致しているのは、「者」には「集める」という意味がある、という説です。いろいろなものを集めるのに用いる竹でできた道具、それが「箸」だ、というわけです。この説の状況証拠としては、たとえば「諸」という漢字は「多くのもの」という意味を持っていますが、この字に付いている「者」も「集める」という意味だと考えると、うまく説明ができる、といったことが挙げられます。
なになに?「おはし」はものを集めるためだけに使うとは限らない、ですって?そんなヘリクツを言ってもしかたないのが、字源の世界です。あんまり深く詮索しすぎないようにしましょうよ、ね。