以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0406
「運転手」には、どうして体の一部を表す「手」という漢字が付いているのですか?
A
それはやっぱり、運転は主に「手」でするからでしょうかねえ。でもそうすると、昔なつかしの「電話交換手」はどうでしょうか?あれも主に「手」でする仕事だったんじゃないでしょうか。でもでも、「野球選手」はまだいいとして、「サッカー選手」は「手」を使っちゃ商売あがったりですよね。
こう考えてくると、この「手」は、体の一部としての「手」とは違った意味で使われていると考えた方がよさそうです。そう思って漢和辞典で「手」を調べてみれば、そこには「ある仕事を受け持つ人」といったような意味もあることが、書いてあるはずです。
漢和辞典に書いてある「手」の意味は、本来的には古代中国語での「手」の意味です。それが現代日本語にも伝わっていること自体、おもしろいことですが、もっとおもしろいのは、漢字の「手(しゅ)」ではなく日本語の「手(て)」にも、同じような意味があるということです。
「話し手」「送り手」「書き手」「作り手」……。この「手(て)」が、「運転手」や「サッカー選手」の「手」とどのような関係にあるのかはわかりませんが、よく知っているつもりの漢字も、ちょっと考えてみると奥が深いことがわかる、いい例だと思います。