以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0401
「木」を4つ書いて「ジャングル」と読む漢字がある、っていう噂は、本当ですか?
A
それは、いわゆる「ジョーク」というものです。「木」が2つで「はやし」、3つで「もり」だから、4つなら「ジャングル」だろう、というわけです。私もジョークは好きなのですが、残念ながらこのQ&Aコーナーはジョークを紹介するコーナーではありません。
というわけで、不本意ながら、まじめにお答えしなくてはならいのですが、「木」を4つ書く漢字は、実はないわけではありません。小社『大漢和辞典』には出ていないのですが、中国で出版されている『中華字海』には、次の図のような漢字が載っています。
「木」を4つ書くというと、正方形に4つ並べそうなものですが、この漢字はちょっと違います。「森」の下にもう1つ「木」を付け加えた、という感じです。で、意味はどうなっているかというと、「森と同じ」だと書いてあります。「木」が1本増えても意味が変わらないなんて、なんだか拍子抜けしますね。
ただ、これで終わりではないのです。『大漢和辞典』に戻ると、さらに上を行く、「木」を6つ書く漢字が載っているのです。というよりは、図をご覧になればおわかりのように、「林」を3つ書く漢字と言った方がいいでしょう。ただ、この漢字は「義未詳」つまり意味不明だと書いてあります。古い字書に載っているので存在することだけはわかっているけれど、その字書には意味は書いていないので、今となっては意味はもうわからなくなっているのです。
さらにさらに!「林」を4つ、つまり「木」に換算すると8つも書く漢字だって、載っているのです。ただし悲しいことに、やはりこの漢字も「義未詳」。いったい、だれが何のためにこんな漢字を作ったものやら。
それにしても、このあたりになってくると、おもしろそうな漢字を載せるだけ載せておいて、「義未詳」の連発。ちょっと!わが『大漢和辞典』も、あまりにも色気がなさすぎやしませんかねえ。